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2006.12.24 Sunday

◇ 最近、音楽について思うこと part 2

 以前の、シンセは用いようという記事でも少し書いたのですが、今の音楽制作環境のツールは昔より格段に良くなっています。コンピュータの性能が上がることによって、コンピュータとハードディスクレコーダー、シンセがあれば自宅でそれなりのレコーディングができるようになっています。

 さらに、有料の音楽配信サービスも立ち上がり、ディストリビューションのコストもほとんどゼロ。マスタリングも外注できますし、CDの作成もピンキリですが、これも外注できます。(最近は自前の工場でCDを生産するのでは採算が合わないから、外注が主流ですけど..)

 裏を返せば、高額なスタジオ代や、プロモーションを行うと称してマージンを抜き取るレコード会社を介さなくても、本人に作品を作り上げる才能があれば、それなりの作品を簡単にリリースできる環境があるわけです。

 もちろん、プロモーションやスタジオを維持するのに費用がかからないとは言いません。スタジオにそれなりの設備を投入したり、プロモーションは媒体によっては莫大な費用がかかりますし、イベントライブを企画する費用だってタダではありません。しかし、今までそこまでスタジオを活用した立派な仕事をした上で、意義のあるプロモーションを大手レーベルがしてきたでしょうか。テレビ局は音楽出版権の手に入ることを条件にタイアップを行うだけで良い音楽を探さず、レーベルサイドは目立つテレビへのタイアップのみを狙ってきただけで、制作に関する仕事を放棄してこなかったでしょうか。

 本来であれば、大手レーベルは持ち前のスタジオに、セッションミュージシャンを招聘して、人の心に残る作品に作り上げた上で、人の耳に残るようなプロモーションを行うのが仕事のはず。つまり、一人では成し得ない、ミュージシャン同士の結びつけや、一人では出来ないプロモーションのブッキングを行ってくれることこそに意義があるはずなのです。スタジオを活用しなかったり、セッションミュージシャンを動員できず、効果的なプロモーションは何なのかに頭が回らないなら、そのレーベルに存在意義はありません。

 プロモーションに費用をかけるなら、(広告宣伝費が原価の2割という前提で)かけた5倍は売上がないと意味がありませんし、スタジオを活用しないと作れない音を使わないなら、そもそもスタジオを所有する意味がないわけです。これは費用対効果といって、商売をしている人にとっては当然の考え方ですね。付け加えれば、「良いモノを作ってくれたから売るのを頑張る」のは当然ですが、「売るのを頑張るから売るモノを作れ」と言うのは本末転倒です。

 今年の事例を挙げると、SMEは本社ビルを売却、東芝EMIは人員整理をした上で合弁の解消と、大手レーベルの業績が思わしくないことが伺えます。音楽レーベルは、もう一度原点に立ち戻って、自分たちしかできない仕事を見直してみて欲しいものです。
Posted by キャニオン at 07:41 | comments (0) | trackbacks (0) | 音楽

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