今日までファインテック・ジャパンとDisplay 2006が東京の国際展示場(東京ビッグサイト)で開催されています。
さて、最近気になることといえば、PDPの画質の方がより本物なのに、液晶に台数ベースで負けている現実が..。
液晶も売れてもらわないと、今の勤務先が保たないのは確かですが、だからといって、液晶の画ってそんなに良いか?と思う今日この頃。
さて、最近気になることといえば、PDPの画質の方がより本物なのに、液晶に台数ベースで負けている現実が..。
液晶も売れてもらわないと、今の勤務先が保たないのは確かですが、だからといって、液晶の画ってそんなに良いか?と思う今日この頃。
プラズマが苦戦している理由、それはたぶん、カタログスペックとか、消費電力が液晶より大きいという負のイメージが先行していることだと思うのですが、本当にそうなのか、ちょっち検証。
1. プラズマは大画面しかない
2. プラズマより液晶は高精細
3. プラズマは消費電力が大きい
4. プラズマは年月と共に黄変する
この辺がパブリックイメージなんですよね。
でも、本当にそうなんでしょうか。検証していきたいと思います。
まずは1. 「大画面しかない」について。これは半分ウソですね。というのは、PDPは37型からラインアップされています。液晶は小さいのが得意なので、従来のブラウン管の占めていたラインアップを中心に据えていましたが、装置の大型化で82型まで作られるようになりました。この辺も製造プロセスと関係するので、次に譲ります。
2.の「液晶の方が高精細」は製造上の理由から行けば、薄膜(資料では膜厚0.5 マイクロメートル、1 mmの2,000分の1)のフォトリソグラフィーで画素を作製する液晶に高精細化の分があるのは確かです。10.4型で1024×768が作れるのですから、21型でフルスペックハイビジョンが出来て当然です。出来ないのは歩留まりを重視しているからと、21型では儲からない、テレビの置き換えには光の透過率が足りないという理由です。
対して、PDPは厚膜プロセスで、ガラス入りの光硬化樹脂で出来たレジストを露光硬化させ、硬化しなかったところを現像、残った部分を焼成してガラス製のリブを構築というステップを踏みます。また、蛍光体を紫外線で発光させるという構造上、穴が小さいと画が暗くなって非現実的である面は否めません。37型未満のフルスペックハイビジョンは構造上難しいという事実は否めませんが、大型の液晶と同じ画面サイズでありながら液晶を選ぶ、というのは単純に大きさの問題でないのは明らかです。
ちなみに、37型でフルスペックハイビジョンを作ったときの画素の大きさは、実は21型標準品位のブラウン管の0.59 mmピッチ(発光画素は一辺0.4 mm)に対して、0.42 mmピッチ(発光画素サイズ一辺0.30 mm)と引けをとりません。この一つ一つが独立制御で発光するので、技術的にはどれくらい困難かというのがわかっていただけるかと思います。(ブラウン感は細い電子線の磁場による走査、液晶は偏光による“シャッター制御”で画素が単独で光るわけではない)
次に3.「消費電力が大きい」について。今まではAC駆動の放電方式によってPDPの方が最大1.5倍ほど液晶より消費電力は高かったのですが、発光効率の改善と液晶の大画面化が進むにつれてそうとも言えなくなってきました。実際には液晶もパネルが大きくなると冷陰極蛍光管(CCFL, cold cathode fluorescent lamp)の消費電力が大きくなります。それもちょっとやそっとの問題ではなく、表に出てくる明るさはバックライトの1/10なんですよね。CCFLの単独の明かりを直に見ると目がつぶれるかと言うくらい明るいです。現に、50型を境にPDPと液晶の消費電力が逆転しています。
液晶は配向分子で“シャッター制御”して画像を形成していますが、これに伴って明るさの損失、視野角の狭さといった問題が出てきているんですよね。あとは、分子が動く時間がかかるので、動画にイマイチ弱いという問題点もあります。改善技術も出ていますが、動画に弱いのは否定できない事実です。(PDPの画素点滅は理論的には百マイクロ秒オーダーまで高速化可能、液晶は数ミリ秒より高速化は不可)
最後に4.の「黄変問題」これは実は液晶にもあります。封入樹脂や平坦化絶縁膜に使われている樹脂が時間とともにCCFLの出す紫外線によって劣化すること、CCFLの青色蛍光体の劣化することによって画面が黄色くなります。PDPは寿命の短い青色蛍光体の発色が弱まって赤と緑が相対的に強くなった結果、画面が総じて黄色がかって見えるようになります。共に明るさを控えることによって長寿命化しますので、これは引き分け。(宇部マテリアルが長寿命を謳った新規の青色材料を実用化するようです。来年お目見えか?)
ただ、従来のテレビから高品位テレビに移行するときに、動画再現性とか、視野角といった問題(厳密にはPDPの前面ガラスによる屈折角でPDPにも視野角の問題はあるが液晶と違って色合いの問題は出ない)があるのは高いお金を払って買った大画面テレビの特性としてどうか?と思うことが多々あるんですよね。今年中には42型のフルスペックハイビジョンのPDPが出るという話がありますし、いつ出るかわからないけど、画質の最本命SEDもあります。
高いお金を払って買う大画面テレビ。画質についてももう一度見直してみてはいかがでしょうか。
1. プラズマは大画面しかない
2. プラズマより液晶は高精細
3. プラズマは消費電力が大きい
4. プラズマは年月と共に黄変する
この辺がパブリックイメージなんですよね。
でも、本当にそうなんでしょうか。検証していきたいと思います。
まずは1. 「大画面しかない」について。これは半分ウソですね。というのは、PDPは37型からラインアップされています。液晶は小さいのが得意なので、従来のブラウン管の占めていたラインアップを中心に据えていましたが、装置の大型化で82型まで作られるようになりました。この辺も製造プロセスと関係するので、次に譲ります。
2.の「液晶の方が高精細」は製造上の理由から行けば、薄膜(資料では膜厚0.5 マイクロメートル、1 mmの2,000分の1)のフォトリソグラフィーで画素を作製する液晶に高精細化の分があるのは確かです。10.4型で1024×768が作れるのですから、21型でフルスペックハイビジョンが出来て当然です。出来ないのは歩留まりを重視しているからと、21型では儲からない、テレビの置き換えには光の透過率が足りないという理由です。
対して、PDPは厚膜プロセスで、ガラス入りの光硬化樹脂で出来たレジストを露光硬化させ、硬化しなかったところを現像、残った部分を焼成してガラス製のリブを構築というステップを踏みます。また、蛍光体を紫外線で発光させるという構造上、穴が小さいと画が暗くなって非現実的である面は否めません。37型未満のフルスペックハイビジョンは構造上難しいという事実は否めませんが、大型の液晶と同じ画面サイズでありながら液晶を選ぶ、というのは単純に大きさの問題でないのは明らかです。
ちなみに、37型でフルスペックハイビジョンを作ったときの画素の大きさは、実は21型標準品位のブラウン管の0.59 mmピッチ(発光画素は一辺0.4 mm)に対して、0.42 mmピッチ(発光画素サイズ一辺0.30 mm)と引けをとりません。この一つ一つが独立制御で発光するので、技術的にはどれくらい困難かというのがわかっていただけるかと思います。(ブラウン感は細い電子線の磁場による走査、液晶は偏光による“シャッター制御”で画素が単独で光るわけではない)
次に3.「消費電力が大きい」について。今まではAC駆動の放電方式によってPDPの方が最大1.5倍ほど液晶より消費電力は高かったのですが、発光効率の改善と液晶の大画面化が進むにつれてそうとも言えなくなってきました。実際には液晶もパネルが大きくなると冷陰極蛍光管(CCFL, cold cathode fluorescent lamp)の消費電力が大きくなります。それもちょっとやそっとの問題ではなく、表に出てくる明るさはバックライトの1/10なんですよね。CCFLの単独の明かりを直に見ると目がつぶれるかと言うくらい明るいです。現に、50型を境にPDPと液晶の消費電力が逆転しています。
液晶は配向分子で“シャッター制御”して画像を形成していますが、これに伴って明るさの損失、視野角の狭さといった問題が出てきているんですよね。あとは、分子が動く時間がかかるので、動画にイマイチ弱いという問題点もあります。改善技術も出ていますが、動画に弱いのは否定できない事実です。(PDPの画素点滅は理論的には百マイクロ秒オーダーまで高速化可能、液晶は数ミリ秒より高速化は不可)
最後に4.の「黄変問題」これは実は液晶にもあります。封入樹脂や平坦化絶縁膜に使われている樹脂が時間とともにCCFLの出す紫外線によって劣化すること、CCFLの青色蛍光体の劣化することによって画面が黄色くなります。PDPは寿命の短い青色蛍光体の発色が弱まって赤と緑が相対的に強くなった結果、画面が総じて黄色がかって見えるようになります。共に明るさを控えることによって長寿命化しますので、これは引き分け。(宇部マテリアルが長寿命を謳った新規の青色材料を実用化するようです。来年お目見えか?)
ただ、従来のテレビから高品位テレビに移行するときに、動画再現性とか、視野角といった問題(厳密にはPDPの前面ガラスによる屈折角でPDPにも視野角の問題はあるが液晶と違って色合いの問題は出ない)があるのは高いお金を払って買った大画面テレビの特性としてどうか?と思うことが多々あるんですよね。今年中には42型のフルスペックハイビジョンのPDPが出るという話がありますし、いつ出るかわからないけど、画質の最本命SEDもあります。
高いお金を払って買う大画面テレビ。画質についてももう一度見直してみてはいかがでしょうか。
Comments
だけど、コストなんて走っている間に何とか下がるものでもあるんです。
出さない限り、コストなんて永遠に下がりません。
もう一つ付け加えると、居間のブラウン管がそれまで持ってくれるかが一番の心配事です。